10月24日(日)
Symposium ジョスカンを学ぶ
会場 大森福興教会
日曜日、フェスティバルの最終日は、ルネサンス音楽研究家たちによるシンポジウムです。誰もがジョスカンのことをより深く学び、楽しめる企画です。お話し、ディスカッション、そして演奏もあります!どなたさまもふるってご参加ください。
E
午後1時〜6時(12時45分 開場)
《ジョスカン・シンポジウム》
4人の碩学による講演を基点に、ディスカッションを行います
パネリスト:今谷和徳・宮崎晴代・上尾信也・吉川文
司会:花井哲郎
今谷和徳 講演
「ジョスカンとはどういう作曲家なのか 〜ジョスカンの世俗作品を巡って」
15、16世紀のルネサンス時代には、現在のベルギーを中心としたフランドル地方出身の作曲家たちがヨーロッパの音楽界をリードしていました。中でも1500年前後に活躍したジョスカン・デ・プレはとくに重要な存在でした。ここでは、そのジョスカンの人物像について概観するとともに、その主要な創作ジャンルである多声シャンソンが、15世紀と16世紀のシャンソンの間にあってどのような形をとっていたのかなど、その世俗作品について考えます。
今谷和徳 Kazunori Imatani 音楽史家。1945年生まれ。早稲田大学第一法学部卒業、同大学院文学研究科(西洋史専攻)博士課程後期課程単位取得満期退学。長年にわたり、早稲田大学、慶應義塾大学をはじめとする多数の大学で講師を歴任。現在、早稲田大学の公開講座の講師や各種レクチャーの講師、NHKのFM放送への出演など、多方面で活動。専門は西洋音楽史。著書に『バロックの社会と音楽・上下』(音楽之友社)、『ルネサンスの音楽家たちⅠ、Ⅱ』(東京書籍)、『新版 中世・ルネサンスの社会と音楽』(音楽之友社)、共著に『フランス音楽史』(春秋社)ほか。
宮崎晴代 講演
「ジョスカンの宗教音楽 〜ミサ曲・モテットの魅力」
数多の名曲を残したジョスカン・デ・プレですが、中でも彼の宗教曲には、美しさ奥深さだけではなく、知的探求心にあふれた魅力も見られます。例えばミサ曲では、定旋律に「ラソファレミ」という音階を使ってみたり、曲の中に「なぞなぞ」を仕掛けたり。はたまたメッセージ性の高いモテットをひも解けば、そこには当時の音楽家が置かれた社会的事情も垣間見えてきます。ジョスカンの宗教曲の魅力を、様々な視点から見ていきましょう。
宮崎晴代 Haruyo Miyazaki 武蔵野音楽大学音楽学学科および同大学院修士課程音楽学専攻修了。米国フロリダ州立大学大学院博士課程でCertificate in Early Musicを取得後、東京大学先端科学技術研究センター協力研究員として、音楽における時間論と記譜法を研究する。大学で中世・ルネサンス時代の音楽理論研究を行う一方、中世音楽合唱団、ウェルガスアンサンブルに所属し、演奏活動も行っている。日本音楽学会、アメリカ音楽学会、西洋中世学会各会員。国際音楽資料情報協会(IAML)日本支部事務局長。著書『バロック音楽の名曲』(2008)、共訳書『グロケイオ「音楽論」全訳と手引き』、『ミクロログス(音楽小論):全訳と解説』など。東京芸術大学、武蔵野音楽大学、昭和音楽大学、各講師。
吉川文 講演
「ルネサンス音楽の楽譜 〜写本と初期印刷楽譜」
ルネサンスの世界を変革する大きな力をもった活版印刷術は、すぐに楽譜にも応用されました。最初の活版印刷楽譜として引き合いに出されるヴェネツィアの出版業者ペトルッチの楽譜には、ジョスカンの作品がいくつも収められています。「一点もの」の手書きの楽譜写本とは異なり、相当数の「既製品」としての印刷楽譜の登場によって、楽譜の書き方や音楽そのものに様々な影響が現れます。当時の楽譜から見えるもの、聞こえるものを探っていきます。
吉川 文 Aya Yoshikawa 東京芸術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院音楽研究科修士課程、後期博士課程修了。東京芸術大学非常勤講師、フェリス女学院大学非常勤講師などを経て、現在東京学芸大学音楽・演劇講座准教授。小金井市成人大学講座講師等務める。中世・ルネサンスの時代の音楽、特に音楽の理論的な捉えられ方について研究。訳書に『グレゴリオ聖歌の世界』、共著に『はじめての音楽史』。中世ルネサンス音楽史研究会に所属。同研究会訳書『ミクロログス(音楽小論)』にて論文「『ミクロログス』と文法」執筆。
上尾信也 講演
「ルネサンス楽器考 ~16世紀の楽器と演奏の変容」
ジョスカンの時代、1500年頃のヨーロッパは内外に大きく変化します。時間軸と空間軸が広がるのです。また、戦乱の時代が故の技術革新は、中世の個性あふれる楽器類に、同じ形状で音域ごとに大きさを変える「制式」化をもたらし、今日の楽器の多くが生まれます。箱型横置き竪琴に鍵盤アクションが付きチェンバロそしてピアノになり、弦楽器の胴体が括れてヴァイオリンやギターになっていきます。楽器や楽譜を用いて演奏される技芸となった「音楽」の大きな変化を、16世紀の理論書や楽器指南書などから辿っていきます。
上尾信也 Shinya Agario 国際基督教大学大学院修了(学術博士)、西洋史と音楽史を専門とし、楽師(音楽家)や楽器などを扱った音楽歴史学を標榜する。戦争と音楽、「音楽心性」としての国歌にも関心を持つ。『歴史としての音』『音楽のヨーロッパ史』『吟遊詩人』など著作・訳書多数。最近は「音楽史におけるルネサンス再考」、クラヴィコード、パイプオルガン(ヒュドラウロス)、セビリアのイシドルス『語源』の楽器などの論稿がある。5月出版の『原典 イタリア・ルネサンス芸術論』でヴィンチェンツォ・ガリレイ「古代と当代の音楽についての対話」抄訳を担当。
シンポジウムの合間に、ジョスカンの名曲をお楽しみいただきます
シンポジウムの合間に、ジョスカンの名曲をお楽しみいただきます
シンポジウムの合間に、
ジョスカンの名曲をお楽しみいただきます
リュートによるジョスカン・インタビュレーション
瀧井レオナルド(リュート)
ガンバ・コンソートによる世俗歌曲・器楽作品
神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団 共演 花井尚美
演奏曲
「さようなら、愛する人たち」 “Adieu mes amours”
「千々の悲しみ」“Mille regretz”
「主よ、あなたにより頼みます」“In te Domine speravi”
ラ・ベルナルディーナ La Bernardina 他
演奏曲
「さようなら、愛する人たち」 “Adieu mes amours”
「千々の悲しみ」“Mille regretz”
「主よ、あなたにより頼みます」“In te Domine speravi”
ラ・ベルナルディーナ La Bernardina 他
演奏曲
「さようなら、愛する人たち」
“Adieu mes amours”
「千々の悲しみ」“Mille regretz”
「主よ、あなたにより頼みます」
“In te Domine speravi”
ラ・ベルナルディーナ
La Bernardina 他
瀧井レオナルド(リュート) Leonardo Takiy (Lute) 日系ブラジル人三世。サンパウロ州立大学クラシックギター科卒業。バーゼル・スコラ・カントルムで名手ホプキンソン・スミス氏のもとリュートを学び、学士号及び修士号を取得。欧州、ブラジル、日本でリサイタルを開催し、2014年サンパウロ州立音楽院でリュート属楽器のマスタークラスを開催。2020年東京藝術大学古楽科特別講座を担当。つのだたかしや波多野睦美とのデュオで好評を博す他、通奏低音にも長け、R.ヤコブス、R.アレッサンドリーニ等著名な音楽家の監修/指揮するアンサンブルで多数演奏。2017年秋に日本へ移住後は国内の主要なオーケストラとも多数共演。佐藤裕希恵とのデュオ《ヴォクス・ポエティカ》では独自の世界観を追求。研ぎ澄まされたアンサンブルで聴く人を魅了し、CD『テオルボと描く肖像』はレコード芸術特選盤に選出。
公式サイト http://www.voxpoetica-duo.com
神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団 Yukimi Kambe Viol Consort 1983年に結成。大中小のガンバによる合奏が、人の声を理想として16世紀に誕生したことに原点を置いて活動している。主催・依頼を問わず、古典曲から現代曲までジャンルを越えて対応し、子供向け、作曲家のための実験室など何でも行なう。
1990年バークレー古楽音楽祭、1992年京都国際音楽祭に参加。2000年に以降はたびたび長期北米ツアーを行い、2007年環太平洋ガンバ大会in Hawai’iでも大好評を博した。最近では、2016 年J.ノット率いる東京交響楽団演奏会で共演。海外では独・仏・ベルギー、日本各地でも公演。演奏回数は450回を、初演曲は140曲を越える。CD・楽譜出版もある。YKVC後援会の支援を受ける。
神戸 愉樹美(トレブル)、小林 瑞葉(テノール)、折原 麻美(バス)、小澤 絵里子(バス)
公式サイト http://www.ykvc.jp
花井尚美(ソプラノ) Naomi Hanai(Soprano) オランダ王立デンハーグ音楽院バロック声楽科、及びブラバント音楽院古楽声楽アンサンブル科卒業。レベッカ・スティワートに師事。オランダ、ベルギーを中心にヨーロッパ各地でソリストとして様々なアンサンブルやオーケストラと共演。日本ではグレゴリオ聖歌とフランドルの多声音楽をレパートリーとするヴォーカル・アンサンブル カペラで活動を続け、ジョスカン・デ・プレのミサ曲全集CDなどを録音。古楽アンサンブル「アントネッロ」と共演のCD《デュファイ・ラメント》などリリース。またフランス中世文学『薔薇物語』など文学と音楽を融合させるプロジェクトを行なう。トルコやアラブなどの民族音楽にも取り組み、西洋古楽を旋法的な音楽として再解釈し歌う試みを続けている。女声アンサンブル「ド・リーフデ」「Lux vivens」主宰、古楽アンサンブル「コントラポント」メンバー。
公式ブログ「歌わずにはいられない」 http://naomiconcert.blog.fc2.com/
E
午後1時〜6時(12時45分 開場)
《ジョスカン・シンポジウム》
4人の碩学による講演を基点に、ディスカッションを行います